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『膝関節の構造とその疾患』 弘前大学大学院医学研究科 整形外科 准教授 石橋 恭之

膝関節についての疾患と治療法 その1 ここでは、膝関節によくおこる疾患(病気)やケガの診断や治療について説明します。

変形性膝関節症 (へんけいせいひざかんせつしょう)

変形性膝関節症は最も一般的な膝の疾患です。骨の表面にある関節軟骨がすり減り、徐々に膝が変形していきます(通常、O脚になります)。多くは加齢による関節軟骨の老化が膝関節症の原因ですので、高齢者ほどその罹患率(りかんりつ)は高くなります。

初発症状として、立ち上がり、歩きはじめなどの痛みが特徴的です。徐々に正座や階段の昇り降りが困難となり、関節に水がたまったりします。変形が進行すると、膝をしっかりと伸ばすことが出来なくなり、歩行も困難となります。

  • 歩き始めの痛み歩き始めの痛み
  • 立ち上がる時の痛み立ち上がる時の痛み
  • 階段を下りる時の痛み階段を下りる時の痛み

診断は、特に膝の内側に痛みがあるか、関節の動き、腫れや変形があるかどうかを調べ、主にX線(レントゲン)検査で診断します。必要によりMRI検査なども行います。
膝関節症の原因の一つとして肥満がありますので、体重が重い方は減量が必要です。また太ももの筋肉(大腿四頭筋 = だいたいしとうきん)を鍛えることで膝関節が安定しますので、関節症の予防に重要とされています。

【 簡単に行える運動の例 】

  • 大腿四頭筋訓練1(仰臥位)
    仰向けで、痛めている方の脚の膝を伸ばしたまま上にあげる。反対側の脚の膝を曲げて行うと、腰への負担が軽くなる。最初は1日10回程度を3回繰り返す。
  • 大腿四頭筋訓練2(座位)
    座ったまま、膝をゆっくりと伸ばす。
    伸ばしたまま10~30秒そのままの位置に保つようにする。両脚を同時に行うと、腰への負担が大きいので避ける。
  • 股関節外転筋訓練
    よい方の脚を下にして横たわり、痛めている脚を、開くように腰から持ち上げる。脚をあげたまま保つようにすると、さらに効果がある。下になる脚の膝は曲げておくと、体が安定する。
  • 内転筋訓練
    ボールなどを両脚に挟み、両ももに力を入れ、ボールを締め付けるようにする

症状が軽い場合は痛み止めの内服薬や外用薬(湿布や塗り薬)、関節の中に軟骨の成分であるヒアルロン酸の注射をします。また膝の負担を軽くするために、足底板や膝装具を作成することもあります。このような治療でも治らない場合は手術治療も検討します。この中には、変形した骨を矯正する高位脛骨骨切り術(先進治療編参照)人工膝関節置換術(先進治療編参照)などがあります。

関節リウマチ

関節リウマチは滑膜の増殖によってからだのあちこちの関節に慢性の炎症を起こす全身性の病気です。

【 関節リウマチによくある症状 】

  • 手・指の朝のこわばり手・指の朝のこわばり
  • 全身の倦怠感全身の倦怠感
  • 関節の変形関節の変形
  • 全身の関節の痛み・はれ全身の関節の
    痛み・はれ

病気の原因は完全にわかっているわけではありませんが、からだの免疫系の異常が考えられています。進行すると関節が変形し、使いづらくなります(機能障害)。どの年齢の人にも起こりますが、30歳代から50歳代の年齢層に、また男性より女性に多く(約3倍)発病することが知られています。

関節リウマチでは動かし始めに関節がこわばって、使っているうちに徐々に楽に動かせるようになります。この症状は起床時に強いため、“朝のこわばり”とよばれリウマチの診断基準の一つです。関節痛は、よくなったり悪くなったりしながら慢性の経過をたどり、次第に関節の骨や軟骨が破壊されていきます。

診断には症状経過の他、X線(レントゲン)や血液検査が役立ちます。
治療法は、大きく1) 薬物療法、2) 手術療法、3) リハビリテーションに分けられます。生活の注意点としては、痛いときは安静にすること、また関節を冷やすと痛みが強くなることがありますので保温に気をつけることなどが挙げられます。

用語の解説

変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)の原因

変形性膝関節症の原因として、老化による関節軟骨の変性の他、性別(1対4で女性に多い)、肥満、労働・スポーツなどの生活習慣、O脚、外傷(半月板損傷(疾患編2参照)、靭帯損傷(疾患編2参照)など)、感染など多くの要因が挙げられます。特に肥満は変形性膝関節症との関連が強いことが知られています。

MRI検査

MRI (magnetic resonance imaging, 核磁気共鳴画像法)とは、磁場の力を利用して生体内の内部の情報を画像化する方法です。X線(レントゲン検査)では写りにくい骨以外の部分(筋肉、半月板、神経など)を見ることができます。最近は性能が向上し、薄い軟骨の状態も画像化することが可能となっています。

関節リウマチの診断基準

関節リウマチの症状はさまざまで、また、関節の痛みを伴う病気はその他にも沢山あります。そこで、アメリカリウマチ学会がつくった診断基準をもとに診断されています。この診断基準は、

  1. (1) 1時間以上続く朝のこわばり
  2. (2) 3個所以上の関節の腫れ
  3. (3) 手の関節の腫れ
  4. (4) 対称性の関節の腫れ
  5. (5) 手のエックス線写真の異常所見
  6. (6) 皮下結節
  7. (7) 血液検査でリウマチ反応が陽性
の7項目からできています。 このうち4項目以上満たせば、関節リウマチと診断します(ただし、(1)から(4)までは6週間以上持続することが必要です)。